005・電子カルテ購入に必要なコスト6種
金額は製品、サービスで異なりますので取り上げませんが、契約前に必ず確認しておく事項をまとめてみました
目次
1.初期費用(システム購入代金)

製品・サービス代金の支払い方法は基本は3種類になります。
ベンダーと直接売買契約しても、医薬品卸、コンサルが仲介する場合でも同じです。税理士さんと相談して判断するケースは良くあります。
現金・引落・クレジット
- メリット
- 所有者になる
(補助金申請等、所有が条件になる事もあり)
- 総支払額は一番安価
(本体+税のみ、利息も発生しません) - 制限されない(vsリース、割賦)
- クレジットカードの場合、特典が受けられる(要確認)
- 所有者になる
- デメリット
- キャッシュが減る
- 減価償却費、申告等の処理が発生
- 動産・損害・盗難保険が別手続き(任意契約)
リース(ファイナンス契約)
購入したい物件をリース会社が代わって購入し、比較的長期間お客様に貸し出す取引です。
- メリット
- 初期の出費が無い
(月々決められた額の支払) - キャッシュが温存できる
- 全額 経費処理が可能
- 償却処理等の手続き不要(経理処理の簡略化)
- 動産・損害保険(落雷・盗難等)加入で安心
- 初期の出費が無い
- デメリット
- 所有者にはなれない(補助金等利用不可の場合もあり)
- 買取(所有)はできません(要確認)※12
- 総支払額が割高(vs 現金)※11
料率・保険の加入・事務手続きを含む - 原則、契約期間中の解約は不可
- 解約時、契約商品を全てをリース会社へ返却
- 契約期間満了時、解約しない限り再リース費用が発生
(支払額の目安:年間支払総額の 1/10 額)
割賦払い(ローン払い)
購入代金の支払いを分割で行う売買契約です(料率はリース契約より高く設定されることが多い)。
リース会社が購入、お客様に長期間分割払いで販売する取引です。
- メリット
- 初期の出費が無い
(月々決められた額の支払)
- キャッシュが温存できる
- 契約期間の満了後、追加負担もなく所有者になる
(補助金申請等、所有が条件になる事もあり)
- 全額 経費処理が可能
- 償却処理等の手続き不要(経理処理の簡略化)
- 動産・損害保険(落雷・盗難等)加入で安心
- 初期の出費が無い
- デメリット
- 総支払額が一番割高(vs 現金・リース)※11
※11 リース、割賦払いは支払い回数、契約会社により料率が異なります。「料率」:リース料・著作権料などの、逓増(ていぞう)・逓減の基準となる割合
※12 リース期間満了後の返却、買取条件などはリース会社に確認下さい。
2.月次費用(システム利用料金)
月額定額払いの契約がほとんどです。
従量課金制(患者数、レセプト枚数=診療報酬の収入 と連動し支払額が変動する契約)プランのあるベンダーもあります。
月次費用・内訳
一般的な解釈になります。詳細は必ずベンダーにご確認下さい
- 月次費用にに含まれているサービス ※21
- 医薬品マスタ、保険・公費等データベースの更新
- 病名・医薬品のチェック用ルールの更新
- アプリのバージョンアップ
- 診療報酬改定の対応
- コールセンター等、問合せ ※22
(診療報酬の算定に関する問い合わせは除く) - 他・ベンダー特有のサービス
- 別途契約が必要なサービス ※21
- 出張・訪問サポート
(時間外・交通費も発生します) - ハード(機器)の点検・修理
- ネットワークの保守
- システム・ネットワーク等の移設
- 診療報酬の算定に関する点検・サポート
- スタッフ教育
- 出張・訪問サポート
※21 項目・条件及び金額は、ベンダー・システムにより異なります。詳細は必ずベンダーに必ずご確認下さい。
※22 保険、公費を含む「診療報酬の算定ルール」に対応しているベンダーはほぼありません。
サポートが必要な場合、点検・サポートを提供する別企業と契約する方法もあります。
3.消耗品・オプション
- プリンタインク、トナー等 消耗品代金 ※31
- アプリ・オプションソフトの購入代金
- ライセンスの利用代金 月額発生
※31 リサイクル品の利用はご注意ください(保守契約が打ち切り(対象外)となる場合もあります)
4.接続・連携費用
電子カルテと医療機器をデータ連携する場合、電子カルテ側と機器側の双方に連携の作業費、連携ツールの購入が必要です。
新規に接続する場合はもちろんですが、電子カルテを買い替え(乗り換え)る、機器を買い替えるなど、連携の追加、変更される都度発生ます。
連携を検討する前に確認しておく事項
- 連携の可否(過去実績はあるか)
- 不可の場合
- あきらめて別の機器を検討
- 開発を相談(相当な時間と費用が発生)
- 不可の場合
- 連携の作業費 ※41
- 連携ツールの購入費 ※41
- マスタの構築費(マスタが絡む機器連携のみ) ※42
- 連携の日程調整(1か月を目安。稼働日の立合い等含む)
※41 作業費・連携費用の発生しない(初期費用に織り込んでいる)システムもあります。条件は連携毎にそれぞれのベンダーに確認下さい。
※42 マスタの取り込み、加工を伴わない連携には必要ありません。
5.データ移行

電子カルテを他のベンダーに乗り換える場合は注意点があります。
詳細はこちら「電子カルテを乗り換え前のチェック4分類」もご確認下さい。
検討する前に確認しておく事項
- 移行の可否
- 移行できない場合
- あきらめて別のベンダーを検討
- 開発を相談(相当な時間と費用+リスク覚悟)
- 移行できない場合
- 移行できないデータ(代替案含む)
- 移行後も利用できる機能・できなくなる機能
- 移行後、追加される機能
- 現在利用しているシステムの運用
- 5年間の保存義務の解釈について
- 移行の実績(乗り換えの場合)
- 現在連携している機器の継続利用
- 併せて購入を検討している機器との連携
- 操作に関するトレーニング・研修
- 移行直後(稼働初日)のサポート
- スタッフの理解
- 入力方法
- 移行できないデータへの対応
- 利用できなくなる機能
- 追加機能
- 移行するメリット
※51 クラウド型の場合、利用し続ける場合でもクラウド利用+旧カルテアプリの利用料等 維持費が必要になります。
参考:クラウドサービス事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン
6.更新費用
電子カルテ、レセコンの耐用年数は5年です。リース契約期間を5年で契約する方が多いのはそのためです。
リース契約満了と同時迎える耐用年数のタイミングで、システムを更新するサイクルです。
耐用年数を超えても利用はできます。違反になるなどはありません。
- 当期利益、経費等の事情を鑑みての経営判断
- 営業の提案が素晴らしい
- 営業に根負け
常に最新機種・最新機能を求めるアーリーアダプターの方も少なくありません。
- 処理速度(最新のスペック)
- AIなど先進機能
耐用年数の5年は更新の良い機会です。5年の間にバージョンアップが繰り返されていると思いますが、マシンパワーを必要とする処理も多く実装されていきます。処理速度の速い、機能性にも優れた最新機種を買い替えるタイミングとして妥当ではないかと思います。
プライベートでも5年前の携帯電話、パソコンはあまり利用されてないのではないでしょうか。
耐用年数と耐久年数
耐用年数:資産を使用できる「期間」のことです。使用開始日から耐用年数の期間内、毎年少しずつ経費として処理します(減価償却)
機械設備や建物など固定資産として価値を持つ期間として、法的に定められています。
耐久年数:メーカーが独自判断で「問題なく使用できる期間」として公表しているものです。