007・電子カルテ 乗り換えしたい不満トップ3
何かのきっかけで、電子カルテを乗り換えを考えた時はあると思います。
第1回目のこの記事では、不満が蓄積してつい乗り換えを考えてしまった時、その選択では解決できないかも。という視点でご紹介をします。
乗り換えた次も同じ悩みが繰り返されたり、違う問題で悩まされない為にも参考にしてください。第2回目は乗り換えるリスク、最後は乗り換える時のチェックポイントとして、全3回「乗り換え」をテーマにお伝えします。
目次
1.サポートが悪い

繋がらない・待たされる
以前はサポートセンターに連絡しても繋がらない事は良くありましたが、最近ではトラブルに対して対応までの情報が共有されており、以前のように応対者の経験値によるバラつきとかたらい回しも減ってきました。
診察がストップするような緊急時では、患者さんもスタッフも困ってしまいます。何度も同じストレスを感じるようであれば、サポートセンターの体制を確認しては如何でしょう。十分な体制でも繋がらない場合は「使いにくい」「自己解決できない」または「トラブルが多い」「情報の共有がされていない」システム・ベンダーであり、乗り換えをお勧めします。
余談ですが、最近の電子カルテ、特にブラウザ型ではマニュアルを読まずとも入力ができます。テンプレートが充実していたり、学習機能があるので誰でも簡単に入力ができるように設計されています。いわゆる「問い合わせる必要がない」システムも増えており、設定が必要な場合は「オンラインで処理してもらう」ケースがほとんどです。
ネットワーク系の問題、パソコンのフリーズなどはある程度院内で判断できるくらいの危機管理は必要かと思いますが、緊急時については「避難訓練」ではありませんが、定期的にオペレーションを確認する必要もあります。
コールセンターのシステム化(CTI)について
消費者からの各種問い合わせ・注文などの受け付け(インバウンド)の場合、相手の電話番号が表示されるナンバーディスプレイや、これと連動したデータベースシステムにより、営業・商品開発などとのより深い連携(CTI; Computer Telephony Integration)がはかられるようになった。
Wikipedia 「コールセンター」「インバウンド」より
使い勝手が悪い
使い勝手の良し悪しは、カスタマイズ(チューニング)で決まります。これは導入時に対応してくれる担当者の持つスキルで大きく変わってきます。
診療科の動線を理解している人なら、セットの組み方、ボタンの配置も上手に設定してくれますが、そうでなければ機械的なシートなってしまいます。
しかもそれは「先生のお好み・指示通りに作ります」というものであれば、「聞いていない」と言われかねません。
乗り換えを考える前に、「使い勝手が悪いと感じる部分」についてベンダーに相談してみてはいかがでしょうか。その後のカスタマイズにより解消されたのであれば、乗り換えなくて良かったという事になります。どうしても乗り換えを考える時は、「担当者は診療科の導入経験があるかどうか」の確認は取っておくほうが良いと思います。
売りっぱなし(セールスと合わない)
電子カルテに限らずです。
更新時期しか来ない、担当が良く変わる、営業と相性が合わない場合など、つい乗り換えを考えてしまいます。機能的に満足していて、スタッフも同様であれば、会社に電話をして担当替えを相談してみてはいかがでしょうか。
製品ではなくて人で購入を決める話は良くありますが、本当にその通りだと思います。しかしシステムの乗換は、車とか家電製品と異なりリスク・負担がかかるので慎重に検討する事が必要です。
2.価格が高い

更新費用が高い
営業が唐突にやってきて商品を売り込みに来た時しつこいと感じる事があります。更に「安くしました」と言うので、提案を聞いてみると「前回購入した価格とほぼ一緒」となれば、他所のベンダーに聞くという流れは良くある話です。
感覚的には最近購入したと感じますが、実は5年6年経過していることも良くある話です。
新しいシステムの方が処理も早いし、使い易くて機能もたくさん、良い事ばかりなので、営業としては更新してほしいという思いですがなかなか伝わらない事がほとんどです。
この問題も、「なぜ高いのか」「次の更新は同じか」「別のプランは無いか」これらを良く確認すべきです。
最近では初期費用が安価な電子カルテも増えていますが、月額費用はそれなりに高い設定になっています。その為、5年のトータルコストをリクエストされる事も増えてきました。
初期費用とサポート費用(5年分)の合算を比較してみて、差額が60万円なら月換算で1万円、30万円なら5千円になります。更新費用が高いからと言って乗り換えてしまうと、残業もふえてしまい結局高くついてしまった。という事にならないように事前に確認が必要です。
営業がなぜそのプランを持ってきたのか、確認してからでも「他所のベンダーに話を聞く」のは遅くはないと思います。
サポート費用が高い
サポート費用はサポートの充実内容により金額差があります(こちらの記事「電子カルテの保守(サポート)は大事か」も参考にしてください)
単純に金額を比較してみると違いはありますが、
- 時間外の対応
- オンライン、コールセンターの営業時間
- 訪問サポートについて
乗り換え前に、今のサポート体制で不満があるのかどうか。次のサポートで今以上のサポートができるか、必ず確認は必要です。安くでも充実したサポートであればそれが一番ですが、そうでなければ必ず後悔します。
3.現状のストレス
今のベンダーで更新のメリットが無い
- 要望とか、伝えていたリクエストに対して改善が見られない
- 以前質問した内容の返事が無い(回答がいつもできない・後ろ向き)
- (乗り換え検討先と比較して)ビジョン、コンセプトに将来性を感じない
- 他のシステムと連携ができない
今の電子カルテベンダーで感じている積み重なったストレスは、乗り換え前に一つずつ確認をしてください。
ストレスの原因が、ベンダーの企業姿勢、製品の根幹部分であれば、更新をしても同じストレスが繰り返される可能性は高いです。
操作性が良くない
今のシステムを5年利用してみて、いかがでしたでしょうか。
- いまだに操作に慣れない
- 決まった操作手順しかしていない
- セットなどカスタマイズもしていない
- 誰かに聞かないと使えない
- 疲れる
3つ以上あると、「使いやすさ」が診療科に合っていないのかもしれません(参考:「電子カルテ 診療科と使いやすさ」も参考にどうぞ)
診療科に合ったチューニングを行うことで、ストレスは軽減されると思います。
営業に相談してみて改善提案が無ければ、乗り換えも検討余地ありかもしれません。
進化が無い・購入時と変わらない
バージョンアップ費用は払っておきながら、効果が感じられない。
何のためのバージョンアップなのか、それすら説明が無い。
世の中、新しい技術が開発されているはずが、システムに実装されないようでは、バージョンアップ費用の支払いなど意味を成しません。
ここにストレスを感じているようであれば、やはり乗り換え候補のベンダーのスタンスは事前の確認が必要です。
更に、今の電子カルテに対しても、一度確認してみてははいかがでしょうか。