009・電子カルテ 乗り換え前のチェック4項目
「乗り換えしたい」動機のNo.1は「サポートへの不満」です。
導入してみて「不満」とされている項目(当社独自調べ)を、チェック項目としてまとめました。乗り換えてみると、今のサポートよりも質が低下するなどにもなりかねません。
乗り換えは患者サービス・経営面において大きなメリットになるので、一度ご確認下さい。

目次(チェック項目)
1.サポートは良くなるか(乗り換え理由No1)
No. | チェック項目 | ×不満要素・◎チェック項目 |
1 | 導入前の研修 | × オンラインのみ。スケジュールが理解度ではなく時間で管理。 ◎ 院内でも実施が可能。時間の変更・追加にも対応。 医師、事務長に対して進捗・理解度など報告がある。 今後のスタッフ入れ替えでも、研修が受けられる。 |
2 | 稼働直前と運用後 | × 導入後の提案、改善がない(導入前のイメージのまま) ◎ 運用後に実際の動線に合わせて提案が受けられ、修正にも協力してもらえる。 乗り換えでは「運用を変えたくない」「今までの手順」を推すスタッフが多い ↓ まずは「運用を変えない方法で」スモールスタート 新しい機能を利用した動線は「慣れてから」段階的に |
3 | セット・シート | × 医師・スタッフによる変更、新規作成が難しい ◎ 診療科を考慮したテンプレートの確認、作りこみは協力してもらえる事 導入後に医師・スタッフが「簡単に」変更できる機能であること (すごく機能的でもカスタマイズの難易度が高いと進化出来ません) |
4 | ネットワーク・機器トラブル | × 修理・改善するまで使えない、緊急対応に1時間以上かかる ◎ 緊急時と復旧後のオペレーションのトレーニングを受ける、手順書も確認 |
5 | 問合せ、時間外の対応 | × コールセンターが繋がらない時間帯、曜日が多い。質問するが回答がない ◎ 4と同様で問合せしなくても対応できるように準備、訓練を行う 自己解決できる方法を確認(動画、チュートリアルなど) 質問はチャットを利用しログを取る(スタッフ間でも共有) |
6 | バージョンアップ | × バージョンアップがない。追加機能の説明がないので購入時のまま ◎ ユーザ、市場ニーズの汲み取り方について実例、頻度を確認 機能の要望をしたいときのフローなども併せて |
7 | 文書、シェーマ画像 | × テンプレートが少ない。追加もされない ◎ テンプレートの種類、追加・作成(取り込み)の方法を確認 |
8 | 病名・医薬品 チェック、データベース | × チェックがかかりすぎて使っていない。かからないので返戻も減らない ◎ ルールのカスタマイズができるか(診療科以外の病名を対象外にする) 患者向け文書、レイアウトを変更する操作の確認(一括変更など) |
2.価格は納得できたか
乗り換えたいと考えてしまう理由NO.2「更新が高い」です。
「聞いていない」と後からトラブルにならないようにチェック。
No. | チェック項目 | ×不満要素・◎チェック項目 |
1 | 5年後(リースアップ後)について | × 5年後など更新について説明がない ◎ 見積項目に記載 買替が必要・不要な範囲、保守の対象 |
2 | パソコンを買い替えたい | × パソコン本体・ソフト・設置調整費がメーカーの言い値かつ高額 × OSを新しくしたい、メモリを増やしたい場合 ◎ スタッフで可能、費用も常識範囲 ◎ 識別が端末か利用者IDなのか確認 |
3 | 利用者・端末を増やしたい(減らしたい) | × パソコン本体・ソフト・設置調整費がメーカーの言い値かつ高額 ◎ 識別が端末か利用者IDなのか確認 |
4 | 他の医療機器・装置連携 | × 連携できるメーカーが少ない。コストに関する説明がない ◎ 連携実績のあるメーカーを確認。必要なコスト、連携方法も確認 (探す、送る、受け取るなどの操作) |
5 | 追加料金 | × 何か依頼するたびに費用が発生する ◎ 商品、サービスの購入以外の追加料金を一覧で確認 |
6 | 補助金の利用 | × 契約後に判明するので受けられなかった ◎ 利用できる補助金がないか、条件、サポートについても確認 |
7 | 税制の優遇措置 | × 納税後に判明したので受けられなかった ◎ 利用できる優遇措置について確認してみる |
3.ストレスは解消できるか
1時間程度のデモではまだわかりません。
「お試し期間」として「自由に使える」環境の中でチェックすべきポイントです。
No. | チェック項目 | 備考 |
1 | お試しの環境と期間 | ある程度、データの入った状態で環境は提供してもらえるか。 デモだけで良し悪しは絶対にわかりません。必ず触る事が大事です |
2 | お試し期間のサポート | お試し期間とは言え、機能面、操作についてある程度の事前研修と、サポートが受けられるか |
3 | 機能の確認 (お試し環境にて) | 1.今までできた事 2.出来るようになる事 3.出来なくなる事 特に「3.できなくなる事」の確認は重要です。 あると思っていたでは済まされない事になります |
4 | 直感的な操作性と自己解決 | ・メニューは直感的に触れるか ・自己解決できるか ここも大事です。その機能にたどり着く為の操作との相性を確認 |
5 | 使用頻度の高い操作性 | クリック数、画面遷移、画面構成にストレスを感じないか ここがいわゆる「使いやすさ」に当たります。 |
8 | レセコンとの連携 | 窓口スタッフの負担・オペレーションを確認 ・患者の連携をはじめ、カルテ側で新しく追加した病名、医薬品、検査項目など |
4.データの移行
レセプト電算データ、移行プログラム データの移行で負担とリスクは大きく変わる為、重要なポイントです。
No. | チェック項目 | 備考 |
1 | 移行月数 | レセプトデータ(季節性も考慮し6カ月程度) カルテデータ(実用では2年程度が目安) |
2 | 患者属性 | 連絡先、勤務先、最終診察日、メモ、特記事項など特殊な情報 |
3 | 既往歴、アレルギー情報などサマリー | 電子カルテのチェック機能に対象となるか 文字情報として移行される場合、チェック対象にはなりません |
4 | レセプト電算データ | 院外処方の場合、レせデータには用法が記載されません 透析などの包括項目、検査項目なども同様です |
5 | 主訴、経過、処方、処置・検査の内容 | 移行後はDoできる状態か、参照(コピペ)までか |
6 | 文書・画像、デジカメ画像 | 移行の可否、新システムでの見え方 |
8 | 旧システムの取り扱い | カルテの保管義務5年間についての解釈、方法について確認 |
9 | 現在連携しているシステム | 機器の連携可否、外注検査は過去検査値について取り込み可否。稼働予定日に合わせた日程調整のとりまとめを引き受けてくれるか確認 |
10 | 事前の移行テスト | 本番1回ではなく、事前に1カ月程度でも移行可が能かどうかを確認。 この方法が一番間違いのない方法です。 |
5.乗り換えまとめ

「乗り換え」は可能です。
最近では電子カルテも安価になっているので、そのまま我慢して利用し続けるより、思い切って決断をする方が効果的な場合もあります。
しっかりと検討を行い、準備に十分な時間をかける事でリスクは最小限に抑える事が可能です。
「お試し期間をもらい、その中で十分に触れる」
「できれば、1か月分だけでも実データ移行してもらい確認をする」
この方法で、とても明確な検証と判断が可能になります。是非契約前におすすめします。
但し、結果契約を見送った場合、移行費用など発生するかもしれませんが、それでも後悔しなくて済みます。
なぜ、乗り換えするのか。他の人の「きっかけ」は何か。
「乗り換えの目的、これを明確にする事」
「目的が達成できるシステムである事」
「乗り換えたい」が先だと、同じことの繰り返しになります。
以上、全3回で乗り換えについてお伝えしました。